2025年03月13日

作品の訂正について

 昨年このブログに掲載いたしました「つなぐ日々を生きる」に誤りがあると、語り手の西内末子さんからご連絡をいただきました。西内さんの友人で『声と展示の図書館』の朗読ボランティアをなさっている方が、この冊子の朗読に取り組まれる中で、次の2つの間違いに気づいてくださったものです。

 一つは、小見出し「小学校入学が社会進出の日」の中にありました。小学一年生の折の教室の場所の説明部分に『戦前は敷島紡績やったところが、今は高知国際高校になってますがね』としていましたが、敷島紡績ではなく正しくは郡是製糸であるとの指摘でした。

 もう1点は、参照の「※1 辻売り」の説明の中の『仮親になってもらうというというもの』は、『いうもの』とした方が適切とのことでした。

 ともにご指摘のとおりであり、当ブログの作品を訂正いたしましたので、ここで報告させていただきます。私どもの聞き書きは、語り手のお話のとおり書き起こし作品に仕上げていきます。作品は語り手のものとの考えが基本です。しかし、作品は残ります。歴史的な事実については間違いのないように一定の調査をすることも大切にしています。今回、『敷島紡績』と誤ったのは、ききがきすとの私の思い込みから調査し確認する一手間を怠ったからです。これからは、この反省を生かし、精進してまいります。

 しかし、今回のことは、録音図書のことを知る素晴らしい機会ともなりました。録音の際には大きな意味を持つことになる漢字の読みや行間のとり方など、これまで以上に考えを巡らせたいと思っています。

 読書が困難な方々にも西内さんの「つなぐ日々を生きる」が届けられると思うと、朗読ボランティアのご友人に感謝せずにいられません。
 また、西内さんの『つなぐ思い』が、さらにたくさんの人たちをつなぎ、つながることを心から願っています。

 高知城梅の段の枝垂れ梅(R7年3月上旬) 高知城梅.jpg

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2025年02月08日

人生を語るということ〜聞き書きの魅力〜

高知県内の介護施設と聞き書きを通じたご縁をがあり、デイサービスの利用者さんのお話をオンラインで聴かせていただいています。1回が30分と短い時間ではありますが、自分より少しばかり年上の方のお話には、いつも「あぁ、そうなんですね」と発見あり、納得ありの連続です。素敵なお話の具体は、残念ながら守秘義務上できませんが、それは私の宝物になっています。

『ききがきすと』としての聞き書きも高齢者の方が多く、3時間足らずのお話の中に語り手の人生がぎゅっと詰まっている、そんな実感があります。一方で、デイの利用者さんのお話は、時間が短く、私からの問いかけも全く違うので、遠い日の記憶のかけらを拾い上げて話してくださっているように感じます。その時になにを見てなにをしたのか、どう感じたのか考えたのか、一つひとつ拾い上げて話してくださる。言葉を探しながら私に伝えてくださる。私はそれを、紛れもない、その方の人生の一部であるとして、深く受け止めています。

人はそれぞれの物語を生きています。この広い世の中に私の物語を生きているのは私だけ。あなたの物語を生きているのは、あなただけです。当たり前のことですが、聞き書きを通して、その当たり前のことに大きな感動をもらいます。

聞き書きすることで、語り手は越し方を振り返り、やはり自分には大事なことだったと認識を深めることもあるし、小さな忘れ物を見つけることもあるかもしれません。聞き書きには、いろんな形があるし、あっていい。

今年も、素敵な語り手に出会い、聞き書きの様々な可能性を探りたいと願っています。

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2025年01月06日

ワクワクドキドキのききがきを!!

明けまして、おめでとうございます。

昨年の後半はブログをお休みしてしまいました。

言い訳にはなりませんが、夫が帯状疱疹で入院。半年経ちなんとか通常の生活に戻ったものの、今も痛みや痺れが残り、服薬はまだ続いています。

夫の病に伴走しながら自らの老いや病を実感することも多く、ややもすると暗くなりがちだった暮のある日、ききがきの語り手だった方から嬉しいお知らせがありました。冊子を読んだご友人が、様々な場所での読み聞かせに使かってくださっているとのこと。

そうそう、そうでした。ききがきには、まず出会いの喜びが。そして、語り手と聴き手が共感でつながり、「聞いてくれて、ありがとう」「話してくれて、ありがとう」「読んでくれて、ありがとう」と、感謝の連鎖も生まれます。読み聞かせの人と人とにも、この共感と感謝の連鎖ができたようで、私の固く重くなっていた心にワクワクドキドキが溢れました。

「ききがき」が楽しい、もっともっと楽しもう・・・そんな思いでいっぱいになったんです。

今年のききがきの目標は、冊子づくりはもちろん、仲間づくりも楽しみながら進めること。

ききがきの会のブログもワクワクドキドキしながら楽しく続けます。


最後に、帯状疱疹について一言。高齢者の帯状疱疹は特に重症化しやすいので、ワクチンも、罹った場合の受診も、是非、早めに!!

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2024年05月20日

「語ってくれて、ありがとう」「聴いてくれて、ありがとう」       〜聞き書きは、ありがとうの交換〜

この春に語り手と出会い、久しぶりの聞き書きに取り組んでいます。同じ高知の女性であり、4〜5歳時の戦争の思い出から始まり、台風災害に翻弄された若い時期、姑の終いまでの長い年月、その後の夫の看取りへと続くお話でした。

でも、人生の苦労話ではないんです。人とのつながりが縦糸、農家の仕事が横糸のしっかりした布の上に鮮やかに織り込まれた二つとない人の生き様です。今、私は、冊子づくりへの作業途上ですが、この聞き書きとの出会いが何とも嬉しくて、感謝しかない思いです。

高知新聞の閑人調というコラムに、「やなせさん」という標題で、「アンパンマン」の作者であるやなせたかしさんのエピソードが紹介されていました。やなせさんは「人間が一番うれしいことは何だろう?」と長い間考え続けて、「人は人を喜ばせることが一番うれしい」との答えを見つけたと書かれていました。

私たち『ききがきすと』も、聞き書きで人を喜ばせたい。聴き手の私たちには「語ってくれて、ありがとう」、語り手には「聴いてくれて、ありがとう」と、お互いに『嬉しい、ありがたい』という気持ちの交換となるものでありたいと思っています。今回の聞き書きでも、私は、至福の時をいただいています。次は私が、冊子づくりで語り手に喜んでもらう番です。

このブログへも早ければ来月末頃、新たな聞き書き作品として掲載する予定です。
「読んでくれて、ありがとう」「伝えてくれて、ありがとう」の交換が、ここでもできるようになるのが、次の目標です。

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2024年04月11日

山の春に思う 〜桜のこと、聞き書きのこと〜

語る人と聞く人がいて、聞き書きになる。
高知県東部の北川村の遺族會舘に掲げられた英霊の遺影、その声を聴きたいという私の願いが、聞き書きの形で叶った。
もう10年余も前のこととなる。語り手は、英霊となった方々のご親族であり、川島博孝さんは、その中のお一人だ。

そのご縁で、川島さんの山の桜の木植樹に参加したことがある。
「もう花が咲きゆうで」と連絡をいただき、先日、久しぶりに北川村へ出かけた。
桜山に案内してもらうと、あったぁ、私の桜の木!!
私の下手な字で、『いつの日にか桜の名所に 川島公園💛』と表に、裏に『平成27年3月21日 TSURUOKA』と書いたタグの付いた桜の木!!
見上げるほど立派に育った私の桜、花も咲いている!!感無量!!

桜を植える人がいて、見る人がいる。時が経ち、誰が植えたとも知らず、この桜を見る人がいる。きっと、いる。
聞き書きは、誰とも知らぬ人に、伝わり、つながる。時や空間を超えて、伝わり、つながる。そう願っている。

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2024年01月31日

ききがき冊子のミニミニ展示会・・その続報                   〜ききがきという贈り物〜

昨年秋のキルトとききがき冊子の展示会・・、その続報です。
会場で冊子を読みたいとおっしゃってくださった方がおいでました。
その方は、キルトづくりの友人のご近所さんで、しかも、私たち二人の高校の先輩。

素敵な出会いとなり、その場で冊子をお貸ししました。
後日、ご丁寧な読書感想をいただいくとともに、1冊の本をご紹介いただきました。

その方が同和地区の市民会館に勤められていた時、「今聞き取っておかないと聞きそびれる」との思いにかられ、その後、館事業として職員の皆さんとともに高齢者お一人おひとりのお話を聞き取り、集作成された本。 一気に読みました。

地域の歴史をベースに置きながらも、そこで暮らしてきた人々の息遣いまで聞こえてくるよう。生活の中の喜怒哀楽が語られています。読み書きから遠ざけられていた方々も暮らす地域でのかつての日々が、こうして私たちの貴重な財産として遺されたことをつくづくありがたく感じました。

読み終えて、聞き書きの持つ大きな可能性を再認識し、聞き書きで拡がる人の輪もまた、その魅力だと大いに感謝したことでした。

Ryoma21の聞き書きの生みの親である松本すみ子さんが急逝されて、はや二年になります。私が松本さん主宰の「ききがきすと養成講座」を受講して十年余りですが、聞き書きは、私の生活の一部となり、語り手との出会い、読んでくださる方々との出会いが、私の人生の彩となっています。

聞き書きというこの松本さんからの贈り物を、これからもっとたくさんの方々に届けたいとの思いで、新Ryoma21の「ききがきの会」を船出しました。

今はまだ、その具体策を模索する旅の途中ですが、途中ならではの思いを折に触れて、このコーナーでお届けできたらと考えています。


次回は、私がオンライン聞き書きをさせていただいている介護施設のことにも触れ、介護の現場での聞き書きのことなどご紹介できたらと思っています。

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2023年10月02日

ききがき冊子の展示 in 高知 〜知ってください「ききがき」のこと〜

素敵なキルトを作り続けている友人がいます。
彼女の初めての展示会に相乗りする形で、こちらも初めてのききがき冊子の展示をしました。

今年は私が高知でたった一人の「ききがきすと」として活動を始めて、ちょうど10年の節目。
一年に1〜2冊のペースで作ってきた冊子も、12冊になりました。
首都圏で活動している仲間の冊子や、「ききがきすと」グループによる『あの日を忘れない 東日本大震災を語る』の宮城編、岩手編の2冊とともに、読んでいただけるように小さなテーブルに並べて、『ききがきコーナー』のでき上りです。

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9月30日(土)と10月1日(日)の2日だけ、会場は高知市、JR入明駅近くのイベント会場です。
手づくりのチラシと友人知人の口コミだけが頼りというミニミニ展示会で、どれだけの人がいらっしゃってくださるか不安でしたが、当日は暑い中でも人が途切れることなく、楽しい時間を過ごすことができました。

もちろん、華やかなキルトが来場者の関心の的ですが、ききがきにも興味を持ってコーナーに寄ってくださる方には、ききがきの説明等のチラシもお渡しして、私がききがきを始めるきっかけとなった北川村遺族会館のことや高知県市合同図書館『オーテピア』での私の冊子貸出の紹介もさせていただきました。ききがきを知っていれば、亡くなられたお母様の話を聞くことができたかもと話してくださった方もおいでました。

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小さなききがきの活動も継続することで大きな力につながるということ、また、ききがきを知っていただく、冊子を読んでいただくことが、大切な一歩であるということを認識した2日間となりました。展示会に手助けくださった方、ご来場いただいた方、本当にありがとうございました。
                 (ききがきすと🄬 鶴岡香代)

posted by ききがきすと at 12:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする